ラッテの日記

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ジョジョスピンオフ短編小説『岸辺露伴は叫ばない』感想

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ジョジョな奇妙な冒険』番外編、『岸辺露伴は動かない』は、アニメ化の他、NHKで実写版が作成され、高橋一生さんが主演を務めた有名タイトルです。

図書館にて、これらのスピンオフ短編小説集『岸辺露伴は叫ばない』を見つけましたので、今回はそのあらすじと感想を各話ごとに書いていきます。

 

くしゃがら

あらすじ

岸辺露伴はある日、カフェで同じ出版社で仕事をする漫画家である志士十五に声をかけられる。話したいことがあるという彼が岸辺露伴に見せたのは、新しい担当者にもらったという規制単語のリストだった。十五はその単語のうちの一つ、「くしゃがら」の意味を露伴に尋ねてみるが、露伴にも検討がつかない。くしゃがらの意味がどうしても気になると言いながら立ち去った十五だが⋯⋯。

 

感想

ドラマの一期で使用されていたエピソードの一つですね。志士十五役の森山 未來さんの名演技が凄まじかったです。ドラマ版一期の中で最も好きなエピソードだったので、原作を読めて嬉しかったです。

作中で十五が発狂するシーンも良かったですが、なんといってもオチが最高でした。「くしゃがら」に該当するような、寄生する言葉がこの世に存在するのかも⋯⋯とゾクッとしてしまいました。規制用語に袋とじと、漫画に関連した怪奇現象である点も工夫されていて読み応えがありました。

 

 

Blackstar.

あらすじ

ガブリエルという男が、露伴に仕事の依頼をしに訪ねてくる。内容は、スパゲッティ・マンの肖像画の作成。はじめは訝しがっていた露伴だが、その名を聞いて依頼を承諾し、スパゲッティ・マンと遭遇した時のことを語り出す。スパゲッティ・マンとは、出会った者が必ず消息不明となると言われている都市伝説。露伴はその唯一の生き残りだった。

 

感想

 これは露伴先生が完全勝利を収めた話と言えるのではないでしょうか。奇怪な体験ができた上に、スパゲッティ・マンの観察ができるポジションも獲得していますし。スパゲッティ・マンが写真に写り込み始めても全く慌てた様子がない所が露伴先生らしくて良かったです。

 ただ、ネット上のオカルトオタクがほぼ真実を言い当てている、という設定がちょっと出来過ぎ感があった気がします。私が持ってるオカルトオタクへのステレオタイプが原因でそう感じたのかもしれません。

 

 

血栞塗(ちしおりみどろ)

あらすじ

 S市の図書館で、露伴は『河豚食への誘い』という本を探している。それは明治時代に刊行された稀覯本(きこうぼん)であり、閲読するには司書に閉架書庫を開けてもらう必要があった。露伴に声をかけられただらしのない女性司書は面倒そうな態度を隠さず、「変な噂が流行ったせいで人手が足りないのに」と話す。その噂とは、見つけると不幸になる赤い栞が、この図書館に存在するというものだった。

 

感想

 この話はスパゲッティ・マンの話とは逆で、露伴先生が負け越してる感じがしましたね。司書さん、赤い栞の話をし始めた時点で「怪しいな〜」って感じはしましたが、まさか怪異そのものだとは!最後、結局なぜ司書さんが露伴先生に何もせずに消えたのか微妙に腑に落ちなかったのですが(あれほど猟奇的な興味を持つのなら、この漫画家の死に際の行動が見たい、とかいう好奇心が芽生えててもおかしくなかったと思う)フグ食と好奇心、カニバリズムなど、一見関係なさそうな要素が見事に結びついていて素晴らしかったです!

 

 

検閲方程式

あらすじ

 露伴大学図書館で、短編執筆のための資料を探していた。資料集めの手伝いをしてくれた大学院生の近森は、数学科の学生だという。図書館を去る前、露伴は近森のノートが机の上に置かれていることに気が付き、興味本位で中を除く。中には、全く同じ方程式がびっしりと書かれており、しかも一枚のページが破けていた。自分のノートを覗く露伴に気がついた近森は、突然様子がおかしくなり⋯⋯。

 

感想

 恋愛と聞いた途端に興味が削がれるのドライ過ぎませんか?ある意味露伴先生っぽいですけど、急に多言語の警告を話し出した大学院生に対して、急に冷めすぎじゃないですか!?と突っ込みたくなりました。

 露伴先生のセリフや地の文に数字が入り込む表現は怖かったですね⋯⋯!これは絶対助からんでしょ⋯⋯と思っていた所を、見事な解決策で危機回避してみせていました。一応しっかり近森くんも助けてあげていて、胸が温かくなりました。

 

 

オカミサマ

あらすじ

 坂ノ上誠子は敏腕の女性税理士で、岸辺露伴とも契約を結んでいる。金銭感覚の欠けた天才達を支えたいという情熱を持つ彼女だが、あまりに規格外な露伴の金の使い方にはかなり悩まされていた。いつものように事務所で二人が攻防を繰り広げている際、あるきっかけから露伴は「オカミサマ」について知る。何でも、どんな借金も帳消しにする裏技なのだとか。ただし、タダより高いものはないのだと、坂ノ上は唯ならぬ様子で語る。そんな奇妙な話に当然興味を惹かれた露伴は、オカミサマを試すことにした。

 

感想

 ジョジョでここまでまともなヒステリックキャラっていなかった気がするので、かなり新鮮に思えました。誠子さん、私はかなり好きです。オカミサマの件が片付いた後で相談料の請求をしているところもちゃっかりしてますよね。オカミサマのことをよく知り尽くしている上に、解決策までさらっと提示してみせる辺り、オカミサマについてかなり研究していたのでしょう。にしても、描写が一番気持ち悪かったですね⋯⋯それもまた味になっていました。

 

 

まとめ

 岸辺露伴シリーズ()は、スタンド能力とはまた違った、人知を越える何かの恐ろしさが迫ってくる感じがいいですね。本編の技巧溢れるスタンドバトルも好きですけど、こういうひたすら不気味なものもまた面白い。露伴先生だからこそ、「そこで何で余計なことするかなー!」が成り立っているのがたまりません()

 にしても、叫ばないは嘘だろと思いますけどね。ジョジョ本編でも小説内でも、めちゃくちゃ叫んでいるイメージありますもん。私だけ?